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内蔵・周辺機器トラブル

【解説】パソコンのハードディスクを交換する方法

更新日:2024年01月11日
【解説】パソコンのハードディスクを交換する方法
HDD(ハードディスクドライブ、別名「内蔵ドライブ」)はパソコンの記憶装置です。OS、パソコンの設定、プログラムを実行するファイル、ユーザーが利用するデータやファイルなど、パソコン上のすべてのデータが保存されています。

HDDはどのような時に交換が必要なのでしょうか。HDDを交換する理由として一番多いのは、故障や破損した時です。HDDは経年劣化や熱暴走、パソコン駆動中の衝撃などによって壊れやすく、その寿命は一般的に4年と言われています。

そこで今回は、HDDの交換方法を以下の点を交えながらわかりやすく解説します。
・HDDの種類
・HDDの選び方
・一般的な交換手順
・OSやデバイスごとの交換方法
監修者:西村 敏正
西村 敏正
NPO法人ⅠT整備士協会 理事
保有資格:パソコン整備士検定/社内IT整備士検定/デジタル庁 デジタル推進委員
2005年4月、パソコン修理関連会社に入社。関西圏を中心に年間1,000件以上のパソコン修理などデジタルトラブル対応を6年間実施。
その後、会員サポート事業の責任者として全国からの様々なIoT機器サポート対応を行うコンタクトセンター事業の立ち上げと運営に従事し、デジタル機器サポートのスキーム構築にも9年間携わる。
また特定非営利活動法人 IT整備士協会の理事として、中小企業のDX化を促進するため法人向けの新たな資格制度を構築。

HDDの種類

HDDの交換方法を見ていく前に、HDDの規格や種類について知っておきましょう。HDDは、大きさ、接続端子、AFT/非AFTの3点から、以下のように分類されます。

HDDの大きさ

HDDは直径別に3種類あります。

3.5インチ:デスクトップや大型ノートパソコンに使用
2.5インチ:ノートパソコンに使用
1.8インチ:モバイルノートパソコン、携帯情報端末(PDA)、携帯音楽プレーヤーに使用

接続端子(接続規格)

パソコンとHDDを接続してデータ転送をする接続規格は、IDE接続とSATA接続の2種類があります。IDEはWindows XP~初期のVistaまでに使われていた古い規格で、現在はIDEよりも速度が速いSATA接続が主流です。

AFTと非AFT

AFT(アドバンスド・フォーマット・テクノロジー)とは、HDDの最小の記録単位である物理的セクタを大きくした技術です。従来の規格では、1つのセクタの大きさは512バイトでした。これに対して、セクタサイズを4,096バイトに拡張した技術をAFTと呼び、従来の512バイト型を非AFTと呼んで区別するようになりました。

HDDの大容量化にともない、非AFTのままでは記憶領域のロスが増加する一方だったという背景があり、AFTが主流になりました。同じ容量のHDDでAFTと非AFTを比較すると、AFTは非AFTよりセクタ数が少なく、セクタ間の何も記録されない領域も少なくなるので、AFTの方が記憶領域のロスが減らせるのです。

ハードディスクの選び方

ハードディスクを選ぶ時は、原則として現在使用中のHDDと同じ規格のものを選びます。ここでは、規格以外の選定ポイントとなる、メーカー、容量、サイズ、速度、キャッシュの5点について解説します。

メーカー

HDDのメーカーは、Western Digital、Seagate、東芝、HGST、サムスンの5社が有名でしたが、HGSTはWestern Digitalに、サムスンはSeagateに買収されており、実質的にWestern Digital、Seagate、東芝の3社が市場を独占している状態です。

メーカーによって大きな違いはないのですが、新しいHDDを選ぶ際は、現在使っているHDDと同じメーカーの製品を選ぶと良いでしょう。

容量

個人で使うパソコンなら、HDDの容量は250GB~1TBで十分です。HDDの寿命は平均4年と短く、4年に1回のペースで交換することを考えると、あまり大容量で高額なものを買ってもコストパフォーマンスが悪くなってしまうだけです。現在お使いのHDDと同じ容量を選ぶことをおすすめします。

サイズ

一般的にデスクトップ型なら3.5インチ、ノートパソコンなら2.5インチを選びますが、ノートパソコンは機種によって3.5インチと2.5インチとに分かれます。現在使用しているHDDのサイズを確認して、同じ大きさを選びましょう。

速度

HDDの読み書き速度の目安となるのが回転数です。回転数はrpmという単位を使って表し、rpmが多いほど回転数が多く、速度が速くなります。

回転数は5,400rpmと7,200rpmの2種類が一般的で、速度を優先するなら7,200rpmを選びます。ただし、7,200rpmは発熱量が大きいというデメリットがあるので、できるだけ発熱を抑えたい場合は不向きです。

一方で、5,400rpmは速度が遅くなりますが、発熱量が7,200rpmに比べて少ないため、省電力やHDDの耐久性を追求したい場合や、ノートパソコンをご利用の場合、5,400rpmをおすすめします。

キャッシュ

キャッシュはHDDのメモリー容量で、数字が大きいほど処理速度が上がります。容量は2~64MBのものがありますが、なるべく容量が大きいものを選ぶと良いでしょう。

事前に用意するもの

HDD交換をするときは、リカバリメディアと新しいHDDが必要です。リカバリメディアについては、以下に説明するので、必ず事前にご用意ください。

リカバリメディアとは

リカバリメディアは本来、OSに不具合が生じてWindowsの起動や動作が不安定になったときに、OSを初期化するのに使うディスクです。パソコンに付属のリカバリCD-R/DVD-Rなどのメディアがついてくることもありますが、現在はリカバリメディアの代わりとなる「リカバリ領域」をハードディスクに内蔵するのが一般的です。

では、HDDを交換する時になぜリカバリメディアが必要なのでしょうか。交換後の新しいHDDにはWindowsがインストールされていないので、パソコンの電源を入れてもWindowsが起動しません。そこで、リカバリメディアからWindowsを再インストールするために、事前にリカバリメディアを用意する必要があるのです。

なお、リカバリメディアが手元にない場合は、HDDの交換前にご自身で作成するか、パソコンのメーカーが提供している有償メディアを購入して、必ず事前に用意しておきましょう。リカバリメディアの作成方法や、大手メーカーのリカバリメディアの入手方法の詳細は、以下の記事をご覧ください。

参考:リカバリーディスクの作り方と緊急時の入手方法

HDD交換の手順

HDD
それでは、実際のHDD交換手順を確認していきましょう。通常のHDD交換では、先にHDDを取り替えてから、新しいHDDにOSの再インストールとデータの復元を行います。今回はデータ移行ソフトを使ってHDDのクローン(複製)を作成することで、OSやパソコンの設定も丸ごとコピーできる便利な方法をご紹介します。

※ここではノートパソコンのHDDの交換手順を説明します。

1.使用中のHDDのサイズや規格を確認する。
① [スタートメニュー]→[コントロールパネル]→[ハードウェアとサウンド]→[デバイスマネジャー]の順にクリック。
②[デバイスマネジャー]画面で[ディスクドライブ]を展開→ドライブ名をダブルクリック→[“HDD名”のプロパティ]→[全般]タブでドライブ名を確認。(ここで表示されるドライブ名がHDDの型番です。)
③型番をインターネットで検索して、サイズや規格を調べる。

2.HDDとHDDケースを購入する。
①サイズや規格が合うHDDの中から、使いたい容量を選んで購入する。
②新しいHDDのサイズや規格に合わせて、HDDケースも購入する。(HDDカバーの名称でも販売されています。)
※HDDケースはこの後のデータ移行の時に使います。

3.データ移行ソフトを使って、新しいHDDにHDDクローンを作成する。
①データ移行用のフリーソフトをダウンロードしてインストールする。
②新しいHDDを一緒に購入したHDDケースに装着(カチッという音がするまで)してカバーを閉めたら、ケースとパソコンを付属のUSBケーブルで接続する。
③新しいHDDがパソコン上で認識されたら、データ移行ソフトを起動して設定する。
④設定が終わったらデータ移行を開始、移行が完全に終わるまでパソコンを放置する。
⑤データ移行が完了したらデータ移行ソフトを終了し、パソコンもシャットダウンする。

4.HDDを取り出す。
①電源を落としたパソコンを裏返し、バッテリーと電源コードを外す。
②内蔵ハードディスクが格納されている場所のネジを外して、カバーを開ける。
③内部もネジ止めされているので、ネジを外してから内蔵ハードディスクを金属ケースごとスライドさせて取り外す。
④HDDを金属ケースに固定するネジを外して、HDDを取り出す。

5.新しいHDDを取り付ける。
①新しいHDDを金属ケースに入れてネジで固定してから、金属ケースごとパソコンに差し込み、ネジでパソコンに固定し直す。
②パソコン裏面のカバーを戻してネジ止めをしたら、バッテリーと電源コードを接続する。

6.パソコンを起動してデバイスドライバをインストールする。
①パソコンの電源を入れて、新しいHDDが認識されているか確認する。
②デバイスドライバの自動インストールを実行する。

以上で新旧HDD間のデータ移行とHDD交換は完了です。

なお、HDD交換はパソコンの内部を触る作業になるので、失敗が不安だったり、作業が難しいと感じたりする場合は無理をして自己解決せずにパソコン修理店へご相談下さい。当店では年中無休でお客様からのパソコントラブルに対応しております。即日対応も可能となっておりますので、ぜひ一度ご相談ください。

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HDDの交換方法はOSなどによって異なる

基本的なHDDの交換方法は前章でご紹介しましたが、OSやデバイスによっては、HDDの交換方法が異なることもあります。そこで、OS/デバイス別の交換方法のポイントを以下の表にまとめました。

OS/デバイス 交換方法
Windows 10 データ移行ソフトを使った交換なら「HDD交換の手順」どおりに行う。
データ移行ソフトを使わない場合は、新しいHDD装着後にリカバリメディアからWindowsを再インストール。
参考:パソコンのリカバリーとは?行う前の注意点と手順
※Windows再インストール時にライセンス認証を要求された場合、以下のURLを参照。
参考:Windows 10のライセンス認証
Windows 7 Windows 10と同様。
Mac HDDの規格の確認や購入、HDDの入れ替え作業は「HDD交換の手順」どおりだが、データ移行方法が異なる。
①Mac OSのインストールディスクが手元にあることを確認。
②HDDの交換前にTime Machineでパソコンのバックアップを取る。
③新旧HDDを入れ替え後、インストールディスクからOSとアプリケーションをインストールする。
③新しいHDDに②のバックアップを復元する。
NAS
製品名:
linkstation
QNAP
TurboNAS
IO DATA Landisk
●NASが正常動作している場合の手順:
①HDD交換前にNASの電源を落とす。
②NAS本体のカバーを開けて、交換したいHDDのツメの部分を押してユニットごと取り外す。
③ユニットに新しいHDDを装着してNASに戻したら、NASの電源をONにする。
④HDDの初期化や再構築は自動で行われる。
●NASのHDDにエラーがある場合の手順:
①NAS本体のカバーを開けて、エラーランプが点滅しているHDD確認する。
②上記の正常動作時の①~④と同様にHDDを交換する。
iPod 1.8インチHDDを使用。原理はパソコンと同じだが、交換前に必ずバックアップを取ること。
①HDD交換を行う前にiPodをパソコンに接続して、iTunesバックアップを行う。
②HDDの入れ替え後、再度パソコンに接続してiTunesバックアップから復元する。
※iPodのバックアップと復元方法は、以下を参照。
>iPodのバックアップ方法
>iTunesからの復元方法
PS4 PS4でHDDを交換する時は、新しいHDD以外に「システムソフトウェア」を用意する必要がある。

●用意するHDD:
サイズ:2.5インチ
厚さ:9.5mm以下
接続規格:SATA 3Gbps
容量:160GB以上

●上記以外に準備するもの:
USBメモリー(1GB以上)

●手順:
①システムソフトウェアをパソコンにダウンロード。
②USBメモリーをパソコンに接続して、ダウンロードしたシステムソフトウェアを保存。

※①と②の詳細は下記サイトを参照。
参考:PS4システムソフトウェアアップデート

③HDDの入れ替え方法は、「HDD交換の手順」の手順4と5を参照。
④②で用意したUSBメモリーをPS4に接続して、PS4をセーフモードで起動。
⑤セーフモードでPS4のシステムソフトウェアを再インストール。

Mac mini
Mac Book
iMac
上記のMacでの手順を参照。

HDDの交換は無理せず専門家に相談を

HDDが故障したり読み書きが遅くなったりした場合、HDDの故障や寿命が考えられるため、新しいHDDへの交換が必要になります。また、HDDの故障や破損だけでなく、HDDを高速化したい時にもHDDの交換は有効な手段です。新しいHDDを選ぶ時や交換作業を行う時は、今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。

HDD交換はパソコンの内部や精密機器を触る作業になります。
本記事でご紹介した手順を読んで、「作業が難しい」あるいは「失敗が不安だ」と感じたら、無理をせずに当店のようなパソコン修理専門店へお任せください。HDD交換作業はもちろん、データ移行や新しいHDDへのデータの復元にも対応しております。
当店ではフリーダイヤルでお客様のお困りごとを受付しておりますので、お困りの際はぜひ一度ご相談ください。

HDDトラブルの修理事例

パソコン修理EXPRESSでは様々なパソコントラブルのご相談を頂いており、その中にはHDD関連のお困り事もございます。

実際にHDD関連の修理を行なった事例の一部をご紹介します。

修理事例1

HDDのDドライブが認識されないというトラブルでお困りのお客様よりご相談がありました。

詳しく診断した結果、内蔵HDDが物理的に故障していることが判明しました。

そこで、新しい内蔵SSDを販売・交換を行い、Dドライブとしてフォーマットを実施。

正常に動作したことを確認し作業完了としました。

修理事例の詳細については以下のページでご紹介しておりますので参考にしてください。

修理事例:東京都世田谷区 ノートパソコンのHDDのDドライブが認識しない/パナソニック Windows 10

修理事例2

HDDの問題が検出されたメッセージが表示され、お困りのお客様からのご依頼です。

詳しく診断した結果、HDDが物理的に故障しているため、動作に不具合が生じている状態でした。

そのため、新品のHDDにデータをコピー、移行を行い新しいHDDへの交換を実施。

正常に動作していることを確認し、作業完了としました。

修理事例の詳細についてはこちらのページをご確認ください。

修理事例:大阪府堺市中区 ノートパソコンでHDDの問題検出のメッセージが表示される/東芝 Windows 8.1/8

修理事例3

こちらの事例もHDDにエラーが発生したというお客様からのご依頼です。

詳しく診断した結果、HDDに不良セクタが発生し、故障してしまったためパソコンが起動しない状態となっております。

そのため、HDDを交換後、リカバリ作業を行いOSのアップデート、新しいHDDへのデータ移行を行いました。

修理事例の詳細についてはこちらの記事を御覧ください。

修理事例:東京都八王子市 ノートパソコンのHDDにエラーが発生/富士通 Windows 7

このようにHDDの交換事例は非常に多くあります。
どんなメーカーのパソコンでもHDDの交換が可能ですし、自作パソコンにも対応しておりますので、HDDの交換でお困りの方はいつでもお気軽にご相談ください。

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